日本怪奇ルポルタージュを見た記録

初っ端から重たい番組の感想になってしまった。

ようやく録画していた年末年始特番を見始めることができたのでそのうちの一つを。

 

www.tv-tokyo.co.jp

お正月恒例?の番組

謎メンバーで日本でおきた事件のルポルタージュを見る

 

昨年は滋賀医大母親殺人事件とすがちゃん最高No.1の生い立ち

今年は大阪2児放置死事件とほしのディスコの生い立ち

 

大阪2児放置死事件は「子宮に沈める」という映画の元となった事件である。わずか1歳と3歳の子を置き去りにし自分は夜の仕事をしてホスト遊びもしていた母親への誹謗、そしてその子どもたちのむごすきる最期に注目されている。今回のルポルタージュはそれらももちろん触れているが、加えて母親がシングルになったきっかけ、家族会議で書かされた誓約書、母親そのものの生い立ち(母親からの虐待と性被害)にも触れられていた。

 

この事件を振り返ってやはりどうしたら防げたのだろうかという点を論じるべきなのだろう。しかし母親がシングルになり大阪で風俗を始めて以降、支援を介入できるポイントはもうほとんどなかったのではないか。強いていうならすぐに託児所をやめてしまったときに本当に子どもは大丈夫かと託児所や仕事関連の人が気づけていたら(職業柄そこまでプライベートに干渉することはないだろうから難しいかもしれないが)。

 

何度か児相が自室を訪ねているがおそらくいずれの時間も母親がいない時間、そして子どもは扉をガムテープで目張りされた部屋の中にいてノックの音も届いていなかったのでは。そしてもし母親と接触できたとしてもこのときの母親はすでに子育てができていない現状からホスト遊びに逃げている状態でなく、ただただホスト遊びSNSにあげているきらきらした自分が本当の自分と信じ切っていたからすでに助けの手を届けられる状態ではなかったのではと感じてしまった。

 

やはり母親がシングルになったあの家族会議がターニングポイントだったと思う。母親は自分自身で「私は社会にも出たことがないのにこどもを育てるのは無理だ」といっていた。にもかかわらずだ。夫も実母も義父母も子どもを引き取らなかった。母親が不倫したことが悪いとあの誓約書を書かせた、中には「家族を頼りません」と書かれていたという。今の日本でたとえシングルでなくても誰の頼りもなく子どもを育てるのなんて決して簡単なことでない。しかも母親は年齢的にも学校卒業後おそらくすぐに結婚妊娠したと考えられる。まともに働いたこともないのだ。そんな人にいきなり母一人きりで子どもを育てながらしかも養育費ももらわずに生きていけなんて無茶にもほどがあるのに。それを止めなかった家族会議が恐ろしくて仕方がない。誰もそれをおかしいと思わない。子どもは母親が育てて当然だという意識。この国は母親に課せられる子育ての責任があまりにも大きすぎる。じゃあ子どもの未来を母親一人に押し付けて果たして子どもはちゃんと育つのか誰か心配していたのだろうか。

 

しかも母親自身も幼少期に虐待を受けていたと。その内容は明かされていなかったが実母との関係性は悪かったとのこと。おそらく愛着障害があってもおかしくないだろう。そんな母親がとても子育てできるとは思えない環境に投げ出されちゃんと子育てに向き合えるのかもわからない。

 

この事件はもちろん母親が子育てを行っていなかった、放置した、それが罪であることは間違いでない。それでもきっと子育てが上手ではないであろう養育環境で育った母親一人に子育ての責任を追わせた環境も同じように罪があると思う。実際に罪に問われなくてもだ。

 

そのあとのほしのディスコの話では口唇口蓋裂をもって産まれたほしのがシングルの母にめいいっぱいの愛を注がれて育って今の活動を母親も見てくれているという話、同じシングルなのに、皮肉だなあと思ってみていた。